「伝統色の遺伝子」

遺伝子のらせん構造のように本を積み重ね、日本の伝統色の系譜を表現する試み。

印刷の簡素化や色見本の均一化により、色は数字や記号で表す機会が多くなった。

どこにいても全く同じ色を共有できること、相互間の誤解が少ない意匠が製作できるようになったことは利点である。

しかし、どの地域や国にも伝統色がある。

日本も例外ではなく、数え切れないほど美しい名前を持つ色が存在している。

まるで一つの色が、一篇の詩のようであるとすら感じる。

伝統色を用いた装丁をらせん状に配置することで、
受け継いだものを大切にするという意図を込め、
色の語源から影響を受けた意匠を作り配置することで、
新たに用いていくという積極性も表した。

遺伝子の素晴らしいところは、ただ伝えていくだけでなく
その中に書き加えていけるところにあると思う。

よって本は白紙である。

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